2018/1/29【マンション管理組合理事長】
昨年(2017年)の12月18日,マンション管理組合の理事会が理事長を解任できるかどうか争われた訴訟の上告審判決で,最高裁第一小法廷は,「解任できる」との初判断を示しました。
本件において,当該マンション管理組合の管理規約には,「理事長は理事の互選により選任する。」と定められている一方,理事会において理事長を解任できるかについては明文規定がありませんでした。他方,総会の議決事項には,役員の選任及び解任が規定され,役員には理事長を含む旨も規定されていました。
以上のことより,原審は,「理事長は理事の互選により選任する」との定めは,解任についての定めではないこと,理事長の解任は総会の決議事項となっていることより,理事会で理事長を解任することはできないとしました。
これに対し,最高裁は,理事長を理事の互選により選任するという定めは,理事の過半数の一致により理事長を解任できるとの趣旨も含むと判断しました。従来,理事長を解任するには,総会決議によるか,理事長に不正な行為その他職務を行うに適しない事情があるときは,各区分所有者が単独でその解任を裁判所に請求することができる(区分所有法第25条第2項)とされていましたので,理事長解任の選択肢が広がったことになります。
理事会に理事長の選任権があるならば,当然に解任権もあると考えられます。その意味で最高裁の判断は妥当と考えられます。しかし,理事会で理事長を解任できるとの明文規定はありませんでしたので,理事長側にとっては不意打ちとも言えます。
マンション管理組合の管理規約は,国土交通省作成のマンション標準管理規約をそのままコピーしたものが多く,本件もそうでした。従って,本判決の影響は大きいものと考えられます。
(沼田)