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2018/2/28【民法という法律の改正について―遺言に関する新たな制度】

  1. 民法改正の要綱案
     以前,民法改正の要綱案における配偶者居住権について書きました。今回は,民法改正の要綱案における別の内容について書きます。
     平成30年1月17日で,次のような内容の記事が各紙に掲載されました。「法制審議会の民法部会が,民法改正の要綱案をまとめた。その要綱案は,死別により残された配偶者の保護の強化を狙いとしたものである。要綱案では,配偶者居住権の創設などが盛り込まれている。」というものです。要綱案では,自筆証書遺言について,全国の法務局で保管する制度もできるとされています。

  2. 現行民法と民法改正の要綱案の違い
     遺言の方式は,民法という法律で定められています。現行民法では,主な遺言の方式として,自筆証書遺言と公正証書遺言があります。要綱案で新たに制度ができるのは,自筆証書遺言についてのものです。
     現行民法では,遺言者(被相続人)自身が作成する遺言として,自筆証書遺言を定めています。この遺言は,遺言者や金融機関,弁護士が保管するなどしておりますが,所在不明となるおそれがあります。要綱案では,全国の法務局(公的機関)で保管することができるようになるため,所在不明となるおそれがなく,また遺言の有無の調査も容易になります。
     また,現行民法では,遺言書の保管者は,遅滞なく,自筆証書遺言を家庭裁判所に提出して,検認(相続人が立ち会っての内容確認)の手続きをしなければなりません。要綱案では,法務局に保管した自筆証書遺言については,検認の手続きを不要としており,負担が軽減されることになります。

  3. 公正証書遺言について
     遺言の方式としては,自筆証書遺言以外の主なものとして,公正証書遺言があります。これは,公証人が筆記して作成するものです。公証人は,遺言の形式の不備がないかの確認をしますので,公正証書遺言では,形式の不備を避けることが可能になります。また,公証人役場で保管しますので,遺言の紛失や改ざんも避けることが可能になります。
     このように公正証書遺言には,メリットがあります。しかし,公正証書遺言では,公証人に費用を支払わなければならず,また,証人2名が立ち会わなければならないなどの手間もかかるといったデメリットもあるのです。
     そのため,自筆証書遺言について上記の新たな制度ができることは,公正証書遺言の作成までは考えていないが,遺言は作成したいと考えている人などにとって,便利な制度になる可能性があります。

  4. 注意していただきたいこと
     現行民法では,自筆証書遺言について,「遺言者が,その全文,日付及び氏名を自書し,これに印を押さなければならない。」と定めています。そのため,たとえばパソコンで全部を作成した場合は,自筆証書遺言として無効です。また,日付について「平成30年2月吉日」と書いても無効です。なぜなら,吉日とは何日のことなのかが不明だからです(遺言が撤回され,新たな遺言が作成された場合には,新たな遺言を有効なものと考えるので,作成日時が重要なのです。)。ほかにも,形式を誤ると自筆証書遺言として無効になるおそれがあります。
     要綱案において,自筆証書遺言について新たな制度ができるとされていますが,形式の不備の確認は,あくまで遺言者がしなければなりません。したがって,遺言者が作成する場合に,形式に不備があり,無効になるおそれは変わらないのです。
     このようなおそれを避けるために,自筆証書遺言を作成しようと考えられた場合は,一度弁護士にご相談されることをお勧めします。

    (永田)

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