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用語集(交通事故)

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は行ま行や行ら行わ行

あ行

■青本

2年に1度、日弁連交通事故相談センターから発行されている『交通事故損害額算定基準』の通称。青本の内容としては、交通事故時の損害賠償額の算定方法・基準や判例が記載され、また医療情報や自動車保険の知識など適切に事故処理をするための情報も記されています。

■赤本

年1回、日弁連交通事故相談センターから発行されている『民事交通事故訴訟・損害賠償算定基準』の通称。赤い本の内容としては、東京地裁の実務に基づいた交通事故における賠償額基準と参考判例が記載され、また事故類型ごとの過失割合が記されており、青本と比べより実務処理重視です。
■アジャスター

日本損害保険協会に加盟する保険会社が扱う交通事故の損害調査を実施する、協会にアジャスターとして登録された者を指す。アジャスター規則において、「保険事故に関し、損害車両の損害額、事故の原因および損傷部位と事故との技術的因果関係の調査確認並びにそれらに付随する業務を行う」と定められています。
■慰謝料

慰謝料とは、交通事故で被害者が負った精神的・肉体的な苦痛に対する補償等のことです。

■一括払い

自動車の保険制度は自賠責保険と任意自動車保険との二重構造となっており、加害者任意保険会社が、自賠責保険の分も含めて自らの判断・責任で被害者に対して賠償を行い、後で立替分を回収するというサービスのことを「一括払い」といいます。任意保険会社は、治療費は医療機関に、その他通院交通費や休業損害などは被害者に直接支払い、その後に、自賠責分を自賠責保険会社から回収(求償)します。


■逸失利益

逸失利益は、後遺症による逸失利益と死亡による逸失利益の2つに分類されます。後遺症による逸失利益とは、事故による後遺症によって労働能力が喪失したことで、事故に遭わなければ被害者が得られたであろう経済的利益を失ったことによる損害をいいます。また、死亡による逸失利益は、事故による死亡によって、事故に遭わなければ被害者が得られたであろう経済的利益を失ったことによる損害をいいます。逸失利益は、消極損害として加害者等に対して賠償を請求することができます。

■内払金

内払制度とは、自賠法が定めた制度ではなく、保険会社が加害者や被害者の便益のために設けたものです。内払いは、傷害による損害について、被害者が治療継続中のため総損害額が確定しないときでも、すでに発生した損害額について加害者(又は被害者)から保険金(又は損害賠償額)の内払いの請求がなされたときに行います。
内払いの額は、請求時点での損害額が10万円以上であれば、その損害額全額が傷害による損害の保険金額(120万円)に達するまで支払われます。なお、第2回目以降の内払いを請求する場合にも、その都度10万円以上の損害があることが必要です。

■運行供用者

運行供有者とは、一般には、その自動車についての運行支配をし、かつ、その自動車の運行により利益を得ている者をいいます。
自動車の運行による人身事故では、自賠法により「自己のために自動車を運行の用に供する者」すなわち「運行供用者」が損害賠償責任を負います。


■ADR

ADRとは、Alternative Dispute Resolution の略称で、裁判によらない紛争解決処理のことです。行政機関、民間機関による和解、あっ旋、仲裁及び民事調停・家事調停、訴訟上の和解などをいいます。紛争解決手続の利用の促進に関する法律」では「裁判外紛争解決手続」と規定されています。

か行

■外貌醜状

頭や顔、首などの日常的に人の目に触れる部分を外貌という。交通事故により、外貌部に人目につくような傷跡が残ってしまった場合に、その際の精神的苦痛や仕事にも悪影響が出ることに対して損害賠償が認められます。


■家屋改造費

重篤な後遺障害(四肢麻痺など)により、自宅をバリアフリー化する必要がある場合に認められる費用です。判決では、他の家族も利益を受けることから○割といった割合で認定する場合が多いです。

■格落ち(評価損)

事故当時の車両価格と修理後の車両価格の差額を指す。一般的に、格落ちの金額は、修理費の割合から算定したり、日本自動車査定協会などによる評価を考慮したりして決定されます。

■家事従事者

いわゆる主婦・主夫のこと。性別,年齢を問わず,現に主婦的労務に従事する者をいう。

■過失運転致死傷罪

自動車を運転する際に必要な注意を怠って、人を死傷させた場合に適用されます。(法定刑は7年以下の懲役・禁固または100万円以下の罰金。)


■過失相殺

過失相殺とは、交通事故の加害者だけでなく被害者にも過失がある場合、その割合だけ損害額から減額(被害者の自己負担になる)されることです。

■過失割合

交通事故の際に、当事者間の過失(不注意に対する責任)の度合いを割合で表したもの。割合の算定については、道路交通法や過去の判例に基づき、公平な見地で決定されます。


■仮渡金

保有者の賠償責任の有無に関わりなく、賠償額の確定しない段階で自賠責保険金の一部を仮請求できる制度(自賠法17条)です。

■眼球損傷

目の後遺症は大きく分けて、4つに分類されます。

·     視力障害視力障害とは、失明等、視力の低下に関する後遺障害です。視力に関する後遺障害は、原則として矯正視力によって判断されるため、眼鏡やコンタクトレンズを使ってもなお視力の低下が認められる場合に、はじめて後遺障害が認定されることになります。

·     調節障害調節力とは、見たい距離に応じてピントを合わせる能力をいいます。調節力が損傷を受けなかった他眼よりも1/2以下に減じたものを「著しい調整機能障害を残すもの」とします。両眼とも損傷を受けた場合や損傷していない眼の調節力に異常がある場合には、年齢別の調整力が参考されます。

·     運動障害運動障害とは、眼球を正しい位置に保っている6本の眼筋のうちいずれかが麻痺し、眼がずれてしまった結果、注視野が狭くなったり、複視が残ったりする後遺障害をいいます。

·     視野障害視野とは眼前の1点を見つめて同時に見える外界の広さをいい、視野障害とは、視野が狭くなったことによる後遺障害をいいます。半盲症、視野狭窄、視野変状等が視野障害にあたります。

■既往歴

被害者が事故前から有していた体質的な要因のことです。

■危険運転致死傷罪

自動車運転死傷処罰法2条で規定する犯罪です。泥酔状態での運転や赤信号を殊更無視しての運転など、危険な運転をして人を死傷させたケースを処罰します(傷害させた場合は15年以下の懲役、死亡させた場合は1年以上の懲役)。

■休業損害

休業損害とは、自動車事故により、休業による収入の減少があった場合又は有給休暇を使用した場合に発生する損害です。

■休車損害

タクシーなどの営業車両については、当該車両の修理中は営業できないことから、合理的な修理期間中に得られたであろう収入について賠償が認められる費目です。

■救護義務

交通事故の当時者は、負傷者を安全な場所に移動し、可能な限り迅速に治療を受けさせること等が義務付けられています。これが救護義務です。対象は、自動車以外にも原付や自転車、トロリーバスや路面電車の運転者または乗務員ですが、歩行者は対象外です。

■共同不法行為

共同不法行為とは、2台以上の車両が関与する事故により第三者に損害を与えた場合、各車両運転者は、第三者に生じた損害の全部を連帯して賠償する責任があります。これが、共同不法行為です。責任根拠は、民法719条1項前段にあります。

■空走時間

自動車の運転者が危険を感じてから、状況判断をし、ブレーキを踏み入れてから、実際にブレーキが効き始めるまでの時間を指します。

■脛骨骨幹部、腓骨骨幹部骨折

脛骨とは、いわゆる「すね」の骨です。下腿(ひざから足首までの部分)の2本の骨のうち、内側の太いほうの骨です。腓骨とは、下腿の2本の骨のうち、外側の細いほうの骨です。下腿は、外傷により負傷しやすい部位で、脛骨は、皮膚による被覆も少ないため、開放性骨折になりやすいといえます。開放性骨折とは、皮膚が損傷して傷口が開き骨折部が外界にさらされる骨折です。

■経済的全損

自動車などの物について、車両時価額が修理費を下回る場合、経済的全損となります。賠償額は修理費ではなく車両時価額となります。車両時価額はレッドブックなどにより立証します。

■刑事記録

加害者に刑事責任を問うにあたり,警察官,検察官,裁判官などが作成した交通事故に関する資料です。実況見分調書や供述調書が代表的です。

■頚椎椎間板ヘルニア

頚椎には、頚髄(脊髄)とよばれる神経組織が通っており、脳から手や肩に向けて送られる信号は全てこの頚髄(脊髄)を通して届けられます。各頚椎の間には椎間板と呼ばれる組織があり、上下の頚椎を支えるクッションの働きを持っています。この椎間板が破れて各神経を圧迫するのが頚椎椎間板ヘルニアです。

■後遺障害診断書

正式には自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書と呼び、交通事故で負った後遺障害の認定手続きに必要となる書類のことです。後遺障害診断書には、通院時の診断書に記載される、患者の氏名・性別・生年月日・住所・治療開始日・受傷日・傷病名・入院期間又は通院期間及び既存障害のほかに、後遺障害等級認定に必要な以下のような情報が記載されます。

·    症状固定日

·    総通院期間及び総入院期間

·    実通院日数

·    自覚症状

·    各部位の後遺障害の内容

·    傷害内容の増悪・緩解の見通し

後遺障害等級の認定はこの診断書を元に決定されるため、損害賠償の請求額に直結する大事な書類になります。

■後遺症と後遺障害

交通事故の被害者は入院や通院によって医師の治療を受け、事故による傷害の回復を図ります。しかし、医師による治療を受けても完全には治癒せず、身体に一定の器質的・機能的障害等が残存する場合があります。これがいわゆる「後遺障害」で、一般に「後遺症」といわれているものです。

■後遺障害の等級認定

後遺障害については、治療にあたっている医師によって、「これ以上治療を続けても症状にかわりがない」という状態、いわゆる「症状固定」の状態に至ったと判断されるときに当該医師に「後遺障害診断書」を作成してもらい、この診断書に基づいて後遺障害の等級認定を受けることになります。

■後遺障害の異議申立て

後遺障害の認定内容が不服であれば、異議申立てをすることができます。

■好意(無償)同乗

好意で乗せた自動車で交通事故を起こし、それでその人にケガをさせてしまう場合がありますが、これを好意同乗といいます。また、これとは逆に運賃を支払って同乗することを非好意同乗といい、バス、タクシーがこれに該当します。
同乗していた被害者に落ち度がある場合には、全損害額について減額されたり、慰謝料についてのみ減額されることもあります。
単に交通事故を起こした自動車に同乗していただけでは、減額事由にはなりません。

■高次脳機能障害

高次脳機能とは、知識に基づいて行動を計画し、実行する精神活動のこと。知覚、注意、学習、記憶、概念形成、推論、判断、言語活動及び抽象的思考などが含まれます。この機能に障害が生じる「高次脳機能障害」とは、主に脳の損傷によって起こされる様々な神経心理学的症状を指します。

特に、交通事故で頭部に大きなダメージを受けた被害者は、脳挫傷や外傷性血腫などの局在性脳損傷だけでなく、必ずしも画像上に表れない「びまん性脳損傷(びまん性軸索損傷など)」を伴うことがあります。

「脳外傷による高次脳機能障害」は、脳卒中などの局在性脳損傷から生じる失行、失認、失語といった大脳巣症状とは違い、おもむきが異なります。記憶や・注意の障害、集中力や判断力の低下、人格・性格の変化、情緒や行動の障害など、認知症に似た精神障害が見られます。本人が症状を自覚していないこともあり、専門家でも見過ごしやすい障害です。

■交通事故証明書

交通事故証明書は、当該事故発生を証明する書類のことです。証明書は、自動車安全運転センターの各都道府県事務所に申し込むのですが、「交通事故証明書申込用紙」が各保険会社、警察署、派出所、駐在所、交番、自動車安全運転センターの各都道府県事務所にあります。

■(公財)交通事故紛争処理センター

(公財)交通事故紛争処理センターは、自動車事故に伴う損害賠償の紛争を解決するために、事故の当事者との面接相談を通して、相談、和解のあっ旋および審査を行っている公益法人です。

■(日弁連)交通事故相談センターにおける示談あっ旋

損害賠償の交渉で相手方と話し合いがつかない時に、(日弁連)交通事故センターの弁護士が間に入り、公平・中立な立場で示談が成立するようお手伝いするものです。これを「示談あっ旋」と呼んでいます。調停の民間版とでも言うべき制度で、早期に適正な賠償額での解決に努めています。

■(日弁連)交通事故相談センターにおける審査

(日弁連)交通事故センターにおける審査とは、示談あっ旋が不調に終わった時に、下記の共済が加害者側の代行をしている案件について、被害者からの申出によって開始される手続きのことです。
この申出があった時は、訴訟や調停に係属しているものやこの手続きを行うことが不相当・不適当なものを除いて、審査委員会(審査委員3名で構成)による再度の示談のこころみがなされます。
その結果、審査委員会は双方に審査意見や「評決」などの再度の示談案を提案します。被害者が同意すれば、下記共済は、これらを尊重するため示談が成立します。このようにいったん示談が不調になっていても、共済の事案については、審査手続を経ることで示談が成立することになります。

 1.全労済(全国労働者共済生活協同組合連合会)の「マイカー共済」

 2.教職員共済生協(教職員共済生活協同組合)の「自動車共済」

 3.JA共済連(全国共済農業協同組合連合会)の「自動車共済」

 4.自治協会(全国自治協会)・町村生協(全国町村職員生活協同組合)の「自動車共済」

 5.都市生協(生活協同組合全国都市職員災害共済会)の「自動車共済」

 6.市有物件共済会(全国市有物件災害共済会)の「自動車共済」

 7.自治労共済生協(全日本自治体労働者共済生活協同組合)の「自動車共済」

 8.交協連(全国トラック交通共済協同組合連合会)の「自動車共済」

 9.全自共(全国自動車共済協同組合連合会)の「自動車共済」、全自共と共済連(全国中小企業共済共同組合連合会)の「自動車共済(共同元受)」

さ行

■時効(消滅時効)

自賠責保険は3年で時効となり、保険金(損害賠償額)を請求する権利が消滅します(但し、平成22年4月1日以降の事故の場合です。それより前の事故は2年の消滅時効となります)。
自賠責保険は3年で時効となり、保険金(損害賠償額)を請求する権利が消滅します(但し、平成22年4月1日以降の事故の場合です。それより前の事故は2年の消滅時効となります)。

■自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)・強制保険

自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)とは、本来加害者側が被害者に損害賠償金を支払った後に、加害者からの請求に応じて支払われるものです。
しかし、加害者が被害者に賠償を行わない場合もあります。そこで被害者保護のため、被害者から自賠責保険会社に対して直接賠償金の支払を請求できるようになっています。ただし、被害者が加害者から賠償金を一部受け取っている場合には、加害者請求と被害者請求が競合することになりますが、この場合には加害者請求が優先します。したがって、加害者請求によって自賠責保険の保険金枠全額の支払がなされてしまえば、被害者請求はみとめられません。

■積極損害・消極損害

交通事故の被害者が被った物的損害は、積極損害と消極損害の2つに分けられます。積極損害とは、交通事故のために被害者が支払わなくてはならなくなった損害です。被害者の葬儀費用、治療関係費、介護費、入院雑費、それらに伴って発生する交通費や雑費等のことです。消極損害とは、事故にあったため将来得られるであろう利益が得られなくなったもので、休業損害、後遺障害による遺失利益、死亡による遺失利益があります。

■素因減額(割合認定)

素因とは、被害者の心因的要因及び身体的要因(既往症等)を意味します。一般に損害の拡大について被害者の素因が寄与している場合には、過失相殺の考え方を類推して損害賠償額を減少されるときがあります。ただし、身体的要因を理由に過失相殺の考え方を類推できるのは原則として当該身体的要因が疾患に当たる場合に限られるなど、減額される対象をめぐって、多くの裁判例があります。

■損害賠償金

賠償される損害は、大きく消極損害、積極損害、慰謝料の三つに分けることができる。消極損害には、休業損害、逸失利益等があり、積極損害には、治療費、通院交通費、葬儀費用等があり、慰謝料には、傷害慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料がある。

■尺骨神経障害

尺骨神経は脇の下から肘の内側を通って手首を越えて小指まで走行する大きな神経のこと。
尺骨神経は、周囲を筋肉や骨に守られていない箇所にあるため、特に肘の部分はちょっとしたケガや圧迫などでもダメージを受けやすくなっている。
交通事故では肘や手を負傷したり、強い圧迫などを受けることにより尺骨神経障害を発症することがある。
尺骨神経の麻痺が起こった場合、後遺障害認定を受けるために交通事故による受傷後まもなく症状が生じ、以後一貫していることを丁寧に立証する必要がある。
筋電図検査によって尺骨神経麻痺の存在を証明することや、Tinelサイン、Fromentサイン、レントゲン、MRI、筋萎縮の有無、鉤爪変形の有無なども尺骨神経麻痺の存在を窺わせる資料として有効であると考えられる。

■車両保険

交通事故により所有車両に損壊を受けた場合に、その修理代を保障する保険のこと。一般的に、自動車保険は交通事故における相手方の損害を保障するために掛けておく保険だが、車両保険においては、自分の車両の損害を補償してもらうこともできる。事故による破損だけでなく、イタズラでキズをつけられた場合、自然災害で被害を受けた場合、盗難に遭った場合なども対象となる。

■醜状障害

外貌の醜状障害とは、交通事故によって、顔面又は上肢・下肢の露出面に目立つ傷跡が残ってしまった障害をいう。障害は大きく分けて2種類存在し、瘢痕と組織陥没がある。瘢痕とは、外傷、やけどの後などの、いわゆる傷あとのことを指す。また、組織陥没とは、欠損障害などによって身体の組織にくぼみが残った状態のことである。醜状障害は、外貌(頭部、顔面、頸部)の醜状については3段階の等級、上肢・下肢の露出面については、1段階の等級が定められている。

■就労可能年数

就労可能年数とは、逸失利益が発生する期間のことをいう。労働能力喪失期間ともいう。この年数は、後遺障害逸失利益や死亡逸失利益の算定時に使用される。就労可能年数は、治療によって改善が見込めず、後遺障害が確定した時点(症状固定時点)または死亡した時点から、67歳までの期間で計算することが原則である。また、症状固定時点または死亡した時点で、67歳に近い人または67歳を過ぎている人は、原則として、平均余命の2分の1を就労可能年数とする。

■傷害慰謝料

傷害慰謝料とは、交通事故によって負ったケガの治療のために、入院・通院したことによって発生した精神的苦痛を慰謝するための損害賠償のこと。
慰謝料とは精神的な苦痛(精神的損害)を金銭に換算して賠償することを言うが、傷害慰謝料はその一種。
傷害慰謝料の額については、入院日数と通院日数を一応の目安として算定するように運用が定まっており、自賠責の場合と任意保険や裁判の場合とで異なる。
自賠責の場合は4,200円/1日の定額となっており、日数は、(1)治療期間(入院から最後の通院日までの期間)と(2)実治療日数(入院+通院の日数)の2倍を比べて小さい方となる。
一方、任意保険や裁判の場合の額は、自賠責の額より高額となるが、入通院の期間が長いほど1日あたりの額は小さくなるような基準となっている。

■症状固定

医学上一般に承認された治療方法をもってしてもその効果が期待し得ない状態で、かつ、残存する症状が自然的経過によって到達すると認められる最終の状態に達したときをいう。つまり、症状が一進一退を繰り返し、治療をしても効果が認められない状態をいう。症状固定となった後にも強く症状が残る場合には、後遺障害の等級認定を受けることにより、傷害部分とは別に、損害賠償を請求できることがある。

■使用者責任

交通事故などの不法行為において、被用者(従業員)が起こした事故等の責任を使用者(雇い主)が負う場合の使用者の責任のこと。
例えば、家電量販店の従業員が商品の配達中に交通事故を起こした場合、その家電量販店は事故で生じた損害を賠償する責任を負わなければならない。また、ここでいう使用者・被用者の関係は、会社と従業員の関係にとどまらずかなり広く解釈され、社用車を私用で使った場合や、元請人と下請人の関係でも使用者責任が肯定されることがある。

■自覚症状

患者自身が感じている痛みや様々な症状のこと。
自覚症状は、それだけでは後遺障害として認定されることは少なく、後遺障害の認定には画像診断やその他医学的な所見に基づき、本人以外の第三者が客観的に捉えることのできる症状(他覚症状)があると判断される必要がある。
したがって、自覚症状を医師に対して訴えかけることは非常に重要で、それをきっかけに様々な検査が行われ、他覚症状の発見につながっていくことも多い。

■事前認定

交通事故により受傷し、継続的な治療を必要とする場合、加害者の任意保険会社が自賠責の保険金額を立て替えて支払った後、被害者に代わり後遺障害の認定を行う損害保険料率算出機構に事前に後遺障害が何級になるのか、等級認定を依頼すること。
事前認定の場合、等級認定のための複雑な手続きを自ら行う必要がなくなることから、手続の負担としては軽いものとなるが、加害者側の保険会社に手続きを任せることとなり、被害者にとって不利な等級認定が行われる可能性もある。
保険会社の顧問医などが保険会社寄りかと疑われるような場合においては、手続きの負担は発生するものの、被害者請求により任意保険会社を通さずに自賠責保険会社に後遺障害による損害を請求し、後遺障害等級を認定してもらうという方法を取ることお勧めする。

■自損事故

自動車を運転している人が単独で起こした事故のこと。
例えば、運転中のハンドル操作のミスにより、ガードレールや電柱に接触した場合などがこれにあたる。
また、居眠り運転などでセンターラインをオーバーして相手方車両と正面衝突をして重症を負った場合(相手がいるものの、運転者に100%の過失がある場合)も、運転者にとっては自損事故である。
自損事故においては、運転者本人がケガをしたり亡くなったりしても自賠責保険は支払われない。
また、任意保険に付帯している対人賠償保険の対象にもならない。
ただし、任意保険では特約として最低限度の補償をしてくれる自損事故保険が付帯している場合があり、医療保険金・死亡保険金などを受け取ることができます。保険会社によっては、本来の自損事故の場合に加えて相手方に過失のない事故によって死傷した場合もこの特約による補償の対象になっている場合もある。
なお、自損事故保険は自損事故によって死傷した場合の補償を行うものであり、破損した車の修理代などを対象とするものではない。

■自損事故保険

自動車の所有者や運転者が、100%自らの過失で事故を起こした場合に、建物への衝突や運転者本人のけがや死亡を最低限度保障する事故保険である。

■ジャクソンテスト

神経根に障害が残存しているかを調べる検査方法。交通事故におけるむちうちなどの症状を裏付ける検査方法としてよく用いられる。検査方法としては、被験者が座って姿勢を正し、検査実施者が被験者の後ろに立ち、被験者の頭を後ろに倒した状態で上から下に押し下げて行う。このとき肩や上腕、前腕、手などに痛みやしびれが誘発されるかどうかで神経根に障害が生じているか否かを診断する。

■自由診療

健康保険が適応されない、または使用しない治療のことで、診療費は全て自分で負担する必要がある。厚生労働省が承認していない治療や薬を使用すると自由診療となり、治療費が全額自己負担となる。自由診療は、患者と医療機関との間の個別の契約に従って行われるものであるため、医療法や医師法による規定に従う必要はあるものの、診療内容や診療費用に法的な制限はない。

■スパーリングテスト

神経根に障害が残存しているかを調べる検査方法。交通事故におけるむちうちなどの症状を裏付ける検査方法としてよく用いられる。検査方法は、被験者がイスに座り、被験者の後ろに立った検査実施者が、被験者の頭を掴んでしびれや痛みが出ている側に傾け、さらに後ろに反らして圧迫するというものである。こうして、神経根の出口を狭めることで、肩・腕・手などにしびれや痛みがあるかどうかを確認する。また、神経根に障害がある場合、神経根の支配領域に痛みや、腫れるなどの症状を訴えるケースがある。

■制動距離

自動車のブレーキが効き始めてから停止するまでに走行した距離を指す。

■責任(処分)

事故を起こしたときに生じる3つの責任(処分)

 <刑事上の責任(処分)>
  交通事故で他人にけがを負わせたり、死亡させてしまったりした場合は、刑法211条の「業務上過失致死傷罪」などに問われ、刑事裁判で有罪になると、懲役刑か、禁固刑又は罰金に処せられます。こうした手続きを行なうのは、あくまでも社会の法秩序を守る「国」であり、被害者であっても、加害者の刑事上の責任を直接追及することはできません。

 <民事上の責任(処分)>
  ドライバーが交通事故を起こして他人に損害を与えた場合、加害者は民法709条の「不法行為責任」に基づいて、被害者に対する賠償義務を負うことになります。つまり、加害者が被害者にお金で償いをすることが民事上の責任です。なお、自賠法3条が「運行供用者責任」、民法715条が「使用者責任」も規定していますので、加害者本人だけではなく、車両の所有者(≒運行供用者)や加害者の使用者も責任を問われることがあります。

 <行政上の責任(処分)>
  私たちドライバーは、公安委員会から運転免許を与えられてはじめて車のハンドルを握ることができます。そこで、将来における道路交通上の危険を防止するために、交通事故を起こしたり交通違反をした人に対して、運転免許を取り消したり、効力を一定期間停止します。これが、「行政上の責任」(行政処分)です。行政処分は、刑事罰とは別に公安委員会(行政機関)が行うもので、点数制度によって行われています。違反や事故に応じて予め定められた点数が加算され、累計点数が一定の点数になったときに、免許取消や免許停止といった処分が決められていきます。■切創

刃物、あるいは金属やガラス片といった辺縁が鋭利な器物が皮膚面に接し、一定方向に力がはたらいた時に生じる切り傷のこと。切創による損傷の範囲は、刃物などの器物が接触した部位に限定される。

■線状痕

切創の痕や手術痕のように、線状にあとが残ったものを線状痕という。

■損益相殺

交通事故の際に、被害者が損害を受けるのと同時に何らかの利益を得たと判断された場合に、損害賠償額から差額を控除されることをいう。人身傷害保険や、自賠責保険から受領済の支給金については、損害賠償額から控除される。

■遷延性意識障害

「遷延性意識障害」とは、俗にいう「植物状態」を指します。意識がないため言葉も話せず、身体を動かすことも出来ません。そのため、生命維持延命のための食事や排泄等には全面的な介護が不可欠です。日本脳神経外科学会の定義によれば、「植物状態」とは、

  1. 自力移動が不可能である。
  2. 自力摂食が不可能である。
  3. し尿失禁状態にある。
  4. 眼球はかろうじて物を追うこともあるが、認識はできない。
  5. 声を出しても、意味のある発言はまったく不可能である。
  6. 目を開け、手を握れというような簡単な命令にはかろうじて応ずることもあるが、それ以上の意思の疎通は不可能である。

この上記6項目の状態が、医療努力によっても改善されずに3ヶ月以上続いたもの、と定義されています。

■脊髄損傷

脊髄」とは、脳から背骨に添って延びている神経線維の束で、まわりを脊椎(せきつい)と呼ばれる骨に取り囲まれています。首の部分を「頚髄(けいずい)」、胸の部分を「胸髄(きょうずい)」、腰の部分を「腰髄(ようずい)」といい、それぞれの周りの骨は、頚椎、胸椎、腰椎と呼ばれています。脳から送られるさまざまな指令は、この「脊髄」を通って全身に枝分かれし、各神経に送られていくのですが、交通事故などによって強力な外力が加わり、脊椎に脱臼骨折がみられると、多くの場合、脊髄にも圧迫や挫創が起こり、その結果、脊髄も損傷されてしまいます。こうした状態を「脊髄損傷」と呼んでいます。
脊髄が損傷すると,その部位から下の神経線維に指令が届かなくなるため、随意運動や感覚が完全に失われたり(完全脊髄損傷/完全麻痺)、部分的に随意運動や感覚が失われたりする(不全脊髄損傷/不全麻痺)といった症状が出現します。たとえば、頚髄に損傷が発生すると、両上肢,体幹,両下肢、つまり全身に麻痺が発生します。これを「四肢麻痺」といいます。胸髄以下の損傷の場合、上肢は正常ですが、体幹や両下肢に麻痺が発生します。これを「対麻痺」といいます。つまり、脊髄の損傷部分が上部になればなるほど麻痺の範囲は広くなると考えてよいでしょう。

■人身傷害補償保険

事故で被保険者が死傷した場合に、加害者の賠償責任の有無に関わらず、被保険者が自分のかけている保険によって、その損害を補償してもらえるという保険です。被保険者の過失に関係なく支払いが受けられるので、加害者からの賠償金が過失相殺によって過失分を差し引かれてしまった場合でも、その分を受け取ることも可能です。搭乗者傷害保険よりも補償の範囲が大きくなっていますが、ただし搭乗者傷害保険とは違って、加害者から過失相殺されない全面的な賠償を受けた場合にはこの保険金を受け取ることはできません。 加害者からもらう賠償金との関係については様々な説があって、現時点では確定しておらず、裁判においてもこの関係が争われることがあります。

■車両保険

偶然の事故によって契約車に生じた損害に対して支払われる保険です。

■裁判基準

損害賠償での裁判上の基準。自賠責基準、任意保険会社基準、裁判基準の順番で、額が高くなる。ただし、裁判をすれば必ず任意保険会社の提示した示談案よりも高くなるというものでもなく、証拠や担当裁判官により左右される部分もある。

■債務不存在確認訴訟

交通事故においては、保険会社側から被害者に対し、これ以上支払う保険金や賠償金がないとして提訴される訴訟。治療が通常より極端に長引いている場合や被害者の主張が理不尽な場合に提訴されることが多い。 被害者側としては、損害賠償や保険金支払を求める反訴を提起することになる。

■実況見分調書

警察が作成する事故現場の状況や事故の発生状況を図面化した調書。加害者の指示説明しかない調書が多いが、民事裁判ではこれを前提に過失割合を決定する。

た行

■他覚的所見

検査結果等から導き出される医師の見解を他覚的所見という。一般的に、痛みやしびれ、機能障害などの自覚症状がある場合は、その原因となっている何らかの器質的異常が見受けられることが多いが、他覚的所見とは、この器質的異常や自覚症状を裏付けるものである。

■代行運転

飲酒などにより自動車運転が困難である所有者が、他者に有償で運転の代行を依頼すること。代行運転において、その運転者が交通事故を起こし第三者を負傷させた場合には、代行を依頼した自動車の保有者に運転利益及び運転支配があるという原則の下、保有者は運行供用者責任を問われることになる。

■第三者行為による傷病届

交通事故などで第三者により負傷を受けた場合に、被害者が健康保険で治療を受ける際に必要となる届けのこと。交通事故によりケガをしたときは,健康保険を使って治療を受けることもできるが,その治療費は、本来、加害者が負担するべきであり、加害者が支払うべき治療費を健康保険が立て替えて支払っていることとなる。そのため、健康保険が将来的に加害者に求償を行うために、この届けが必要になる。

■代車費用

交通事故により車両が破損し、一時的な修理や買い替えを要する場合には、相当であると認められた期間について、代車を使用する場合の費用の賠償を加害者に請求することができる。

■賃金センサス

厚生労働省が毎年発表している「賃金構造基本統計調査」のこと。賃金の統計が、産業、企業、男女、年齢、学歴などに応じて記載され、家事従事者などの現実に収入を得ていない算定が困難な者の逸失利益を請求する際の情報源となる。

■低髄液圧症候群

脳脊髄液減少症ともいう。髄液の減少により、髄液圧が下がり、脳の位置の保全が困難になり、頭痛、めまいや耳鳴りなどの症状が現れる疾患のこと。近年では、交通事故で起こるむちうちとの関連性が強調されてきているが、今のところ正確な原因や病態の解明には至っていない。

■搭乗者傷害保険

所有車両を運転中に事故を起こした場合に、運転者を含む搭乗者の死傷を補償する保険である。加害者の保険から支払われる対人賠償保険や、自らが加入している保険から支払われる人身傷害保険とは別に支払われるものであり、決められた金額ではあるものの、事故後速やかに保険金を受け取ることができ、また、損益相殺の対象にもならないというメリットがある。

■道路交通法

道路における危険の防止、交通の安全と円滑、道路交通による障害の防止を目的とする法律。

■中心性脊髄損傷

脊髄損傷の中には、頚椎や脊椎、つまり「骨」に損傷が見られないにもかかわらず、頚髄の過伸展などによって神経繊維の束の中心部(脊髄の灰白質と白質の内側部)にのみ損傷を受け、上肢の麻痺や膀胱・直腸障害等の後遺障害が現われるケースがあります。
これらは「中心性脊髄損傷」「中心性頚髄損傷」と呼ばれ、不全脊髄損傷の一種であるとされています。症状としては上肢の麻痺が下肢に比べて強いのが特徴で、麻痺の改善も下肢から始まって次に自排尿が可能となり,まもなく上肢機能が改善するといったような経過をたどりますが,手の麻痺は最後まで残ることが多いようです。

■対人賠償保険

契約車の事故により、歩行者、同乗者、または他のクルマに乗っている者など「他人」を死亡、負傷させて、法律上の損害賠償責任を負った場合、自賠責保険から支払われる保険金額をオーバーする分について支払われる保険です。

■対物賠償保険

契約車の事故により、他人の車やガードレール、店舗、信号機などの財物に、破損、汚損などの損害を与え、法律上の損害賠償責任を負った場合に支 払われる保険です。

■中間利息控除

今の100万円と30年後の100万円では価値が異なるため、逸失利益を計算する際に将来の運用益を控除すること。定期金賠償を受ける場合には、当然ながら中間利息は控除されない。

■TFCC損傷(三角繊維軟骨複合体損傷)

TFCCとは,腕の骨(尺骨や橈骨)と手指の骨(手根骨)の間の小指側にある三角の形状をした組織のことです。日本語では「三角線維軟骨複合体(さんかくせんいなんこつふくごうたい)」といいます。この組織は,肘の靭帯や膝の半月板と同じように骨ではありません。いくつかの靭帯や軟骨が組み合わさった軟部組織の総称になります。
TFCCの役割は,手首の滑らかな運動を実現するためのベアリングのような働きや,手首の外側の衝撃を吸収するようなサスペンションのような働きをすることです。TFCCがあることにより,手首は安定的に保持され,人間は手首を複雑に動かすことができるのです。
このTFCCが外傷などによって傷つくことを「TFCC損傷」と呼びます。

■橈骨遠位端骨折

橈骨とは、前腕骨(ひじ~手首部分の腕の骨)の2本の骨のうち親指側の骨です。橈骨遠位端骨折とは、橈骨の手首に近い部分の骨折です。

な行

■任意保険

任意保険は、自賠責保険で補償されない物損事故、また自賠責保険金額を超える損害賠償部分を補ってもらうため、個人の意思で加入する保険です。任意保険でも補いきれない部分は加害者本人の負担となります。
交通事故を起こしたら、任意保険に加入している場合は、60日以内に任意保険会社に通知をします。
示談代行サービスは、任意保険のうち、自家用自動車総合保険(対人事故および対物事故)、自動車総合保険(対人事故に限る)の加入者に対して適用されるもので、交通事故を起こした加害者や運行供用者に代わって、任意保険会社が被害者と示談交渉をしてくれます。これら以外の場合は、加害者は自分で被害者と示談交渉しなければなりません。

■日弁連交通事故相談センター

弁護士が、全国163か所で相談を、39支部では示談斡旋や審査を無料で行うことで、交通事故に関する損害賠償問題の適正かつ迅速な処理を促進し公共の福祉の増進に寄与することを目的として設立された財団法人。

■入通院慰謝料

交通事故における受傷により生じた肉体的苦痛や、検査・治療のために時間がとられ行動の自由が制約されるなどの不利益を慰謝するためのもの

■脳脊髄液減少症

低脳脊髄液圧症ともいう。脳を覆っている硬膜に小さな穴が開き、脳と脊髄の周囲を循環している脳脊髄液が漏れ出して、髄液圧が低下し、様々な症状を伴う症候群、頭痛やめまい、耳鳴り、倦怠など様々な症状を呈する疾患。一般に、これらの症状は起立している時や座っている時に症状が増幅し、横たわると症状が軽快するという特徴がある。交通事故や転倒などによるむち打ち後遺症として発症する症例が報告されているが、現時点において、正確な原因や病態の解明には到っていない。

■脳外傷

「脳外傷」とは、頭部外傷(首から上の頭部に外傷が生じた場合の診断名)のうち、脳自体に損傷が及んだものの総称です。同じ意味の診断名として「外傷性脳損傷」があります。脳挫傷、急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、脳内出血、びまん性軸索損傷などの診断名も、「脳外傷」に含まれると考えてよいでしょう。

■脳挫傷

交通事故の衝撃が脳を直撃して、脳の機能が損傷を受けた状態。高次脳機能障害、遷延性意識障害、外傷性てんかんなどの深刻な後遺障害の原因となる。

は行

■物損

交通事故損害賠償実務において、「物」の滅失・損による損害を「物損」といい、修理費用等車両について生じた損害(車両損害)もこれに含まれます。
交通事故のうち、怪我人が出ずに自動車や建物などの損壊のみが生じた場合をいう。自賠責保険は人身に対する損害(怪我)のみをカバーするものであるため、物損事故の場合は自賠責保険に賠償請求ができない。そのため、怪我をしているにも関わらず物損事故として処理してしまうと、あとから心身の不調が現れても賠償請求ができなくなってしまう可能性があるので注意が必要である。

■判例タイムズ

判例タイムズとは、法律の実務家(おもに弁護士・裁判官・検察官など)向けに全国の判例情報や論文などを掲載した月1回発行の雑誌。判例タイムズが刊行する書籍として交通事故の分野において有名なものとしては、東京地裁民事交通事故訴訟研究会が編集する『民事交通事故訴訟における過失相殺率の認定基準』が挙げられる。

■バレ・リュー症候群

むち打ちがきっかけで自律神経が影響を受け、様々な症状が出ることがある。自律神経失調症のような症状を訴え、頭痛・めまい・吐き気・耳鳴り・聴覚障害・視覚障害・倦怠感・脱力感・疲労感・不眠などがある場合には、バレ・リュー症候群と診断されることがある。

■評価損(格落ち)

事故当時の車両価格と修理後の車両価格の差額を指す。一般的に、評価損の金額は、修理費の割合から算定したり、日本自動車査定協会などによる評価を考慮して決定される。修理によっても直しきれない骨格部分の損傷により車両価格が減少したと認められる場合や,事故歴がついてしまうことにより車両価格が減少したと認められる場合に,加害者に対して賠償を請求することができる。

■PTSD

Post Traumatic Stress Disorder (心的外傷後ストレス障害)は、強烈なショック体験、強い精神的ストレスが、こころのダメージとなって、時間がたってからも、その経験に対して強い恐怖を感じるものをいう。

■ファミリーバイク特約

125cc以下のミニバイク、または原動機付自転車(原付)にのみ有効な特約。原付搭乗中に他人を死傷させた場合(対人事故)や、他者の車両や家などの財物に損害を与えた場合(対物事故)に、加害者側が負担することとなる法律上の損害賠償責任に対して保険金が支払われる。

■不起訴処分

不起訴処分とは、交通事故の加害者(自動車運転過失傷害罪等)などについて起訴をするか否かの判断権限を持つ検察官が、起訴をせずに刑事裁判を経ることなく事件を終了させる終局処分のことをいう。不起訴処分となった場合には、刑事裁判は行われず、いわゆる「前科」がつかずに済むこととなる。

■弁護士費用特約

自動車保険に組み込める付帯特約の一つ。保険会社によりけりだが、年間数千円で付けることができる。加害者側に損害賠償を求めるための弁護士費用などについて、保険会社が300万円を限度に補償するというものが一般的である。被害者の過失がゼロの事故の場合、被害者が加入している保険会社は弁護士法に抵触するため示談交渉ができず、個人で保険会社と交渉する必要が出てくるが、特約があれば弁護士に示談交渉を依頼する費用を保険会社から支払ってもらうことができる。

■賠償金

他の人に与えた損害を、与えた人(加害者)が償って払うお金のことです。

■びまん性軸索損傷

交通事故などで、脳全体が頭蓋骨の中で強く揺すられたような状態になり、神経軸索が広範囲に渡って損傷され、高次脳機能障害などの深刻な後遺障害の原因にもなる。CTの画像所見と臨床症状が合わない場合があるので、事故直後の検査や、後遺障害診断書の作成を依頼する際などに注意が必要な症状である。

■腓骨神経麻痺

下腿の外側から足背ならびに第5趾を除いた足趾背側にかけて感覚が障害され、しびれたり触った感じが鈍くなります。足首(足関節)と足指(趾)が背屈で出来なくなり、下垂足(drop foot)になります。

ま行

■民事責任

交通事故の被害者は、加害者に対して、民事上の法的責任を追求することができる。民事上の法的責任の追及方法としては、示談と法的手続きがある。一般的に、加害者側の保険会社の担当者と交渉し、損害賠償の金額について合意に到った場合には、示談として解決する。もし示談交渉がうまく進まなかった場合には、調停または訴訟による法的手続きをとることも可能である。

■むち打ち症

自動車の追突事故によって多発する症候群 (外傷性頸部症候群) で、頸部痛、上肢痛やしびれ感、めまい、吐き気などが継続したり、不意に発現したりする。交通事故による衝撃によって、頸部の脊椎がずれたり、靭帯が損傷したり、脊椎にひびが入ったり、脳に入る椎骨動脈に影響を与えることが原因と考えられている。

■無保険車傷害保険

自動車保険に入っていない、または保険に入っていても補償内容が不十分な自動車との事故により死亡したり怪我を負った場合に、加害者(無保険車を運転中の者など)が負担すべき損害賠償額のうち、自賠責保険等の保険金額を超える部分に対して保険金を補償する保険。

■免責証書

免責証書は事故の解決内容を記した書類で、示談書の一種である。示談書と異なるのは、両当事者ではなく、被害者側のみが署名・捺印するという点である。免責証書は双方が署名捺印するのではなく、加害者が被害者に対して免責証書を差し入れ、被害者のみが署名捺印するという形態をとる。免責証書が利用されるケースとしては、過失割合に争いがない事故の場合のように、書類の取り交わしを迅速にする目的で使用するケースが多い。

や行

■遊休車

営業車両が交通事故で稼働できなくなった場合に、代替して使用することができた車両のことをいう。営業車が交通事故に遭った場合、修理が終わるまでの間や買い替えまでの間の一定期間はその営業車を使用できないことから、売上の減少を招くが、その分の営業利益は休車損害として交通事故の加害者に請求することが可能である。しかし、営業主が事故に遭った車以外に別の車両(遊休車両)を保有している場合には、売上の減少を回避することができることから、休車損害は認められない。

■優先払特約

この特約を付けておくと、借りた車を運転中に事故を起こしてしまった場合に、運転者の契約している保険から優先して保険金を支払われせることができる。つまり、借りた他人の車を自分の車とみなして保険を使うことができる特約である。これを付けていれば、借りた車の保険から先に使われてしまい、車を貸してくれた人に迷惑がかかるということもない。

■養育費控除

死亡逸失利益の算定において、控除すべきか否かが問題となるものとして、養育費がある。交通事故によって幼児が死亡した場合、その親は幼児の逸失利益を相続すると同時に養育費についての支出を免れることとなるが、最高裁判所は、死亡逸失利益の算定において、将来の養育費の支払いを免れた部分については、控除しないと判断している。

ら行

■ライプニッツ係数

交通事故における賠償は一時金でなされるため、被害者が将来取得するであろう収入を、死亡時点または症状固定時点における金額に引き直すことが必要である。そのために必要となる計算を中間利息控除というが、このうち、生活費控除後の純利益に就労可能年数を乗じた総額から複利計算によって中間利息を差し引く方法をライプニッツ方式という。

■レセプト

正式名称は診療報酬明細書。患者が健康保険等の公的医療保険を使って診療を受けると、医療機関はその患者に対して実施した医療行為の一つ一つを明記した請求書を健康保険等の運営者に送って、費用の支払いを求める。この請求書をレセプトという。公的保険では、初診料から、手術費、薬代に到るまでそれぞれに診療報酬という公定価格が定められているが、レセプトには、その患者に実施した医療行為すべての名称とそれぞれの診療報酬が記載されている。

■労災保険給付

会社などに勤めに出ている人が、勤務中や通勤中に怪我をした際に使える保険のこと。車を所有したら必ず加入しなければならない強制保険である自賠責保険や、自賠責保険の上乗せ補償である任意保険とは、補償の範囲が重なりうる。すなわち、業務中や通勤中に交通事故の被害に遭った場合、被害者は、加害者に対して損害賠償請求権を取得し、一方で労災保険に対して給付に関する請求権を取得することとなる。もっとも、労災保険と自動車保険の両方から、重複して補償を受けることはできない。
労災保険に先立ち加害者の自動車保険から給付を受けた場合には、すでに給付を受けた額を差し引いたものが労災保険金として支給されることになり、重複して給付を受けることがないような仕組みが整えられている。

■労働能力喪失率

後遺障害逸失利益の算定の際に必要となる、労働能力喪失の程度・割合のことを「労働能力喪失率」という。労働能力喪失率は、後遺障害等級に応じて定められた自賠責保険支払基準の労働能力喪失率表を参考に算定されるが、最終的には、被害者の職業、年齢、性別、後遺障害の部位・程度、事故前後の稼動状況、生活状況などを総合的に判断して決められる。

■立証

主張事実を裏付けるための証拠を収集提出すること。裁判では、裁判官に確信を抱かせるほどの証拠提出が求められる。証拠の種類としては、当事者、証人、検証、書証、鑑定の5つがある(交通事故訴訟では、当事者や証人に対する尋問や書証が証拠のほとんどを占める)。

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